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弥生、珊瑚のこと。

政城です。いよいよ新年度、4月に突入しましたね!
……しかし、今回は3月誕生石(と、花札における3月札)お話です。何故なら今回ご紹介する作品完成が押しに押して、先月中掲載に間に合わなかったからです……。(年度末は何かとバタバタしますからね!!)
まぁ私が住む東北はこれからが桜季節ですし、過ぎ去ったことは気にせず書いていくことにします。

さて、3月誕生石といえばアクアマリン・珊瑚・ブラッドストーンですが、今回は珊瑚についてお話ししたいと思います。

◆つまみ細工簪『桜に幕』


「つまみ細工」をご存知ですか?
写真を見ていただければ「これのことか!」と気付かれるかと思いますが、よく着物の方が身につけている髪飾りなどでありますよね。正方形に切った布を重ねて折り、主にお花などを形作る手芸の一つです。

私は数年前からこのつまみ細工を始めたのですが、どうしても作ってみたいモチーフがあり、それが花札の『桜に幕』でした。

一応ここで花札についてザックリ説明いたしますと、1月から12月まで各月に植物の柄が使われており、3月の札が桜なのです。また、全48枚中5枚だけある“光”という高得点の札があるのですが、そのうちの一つが3月の「桜に幕」で、「こいこい」という遊び方(映画『サマーウォーズ』にも登場しましたね)では10月の「菊に盃」の札と揃えると「花見で一杯」という役が作れたりするオイシイ札なのです。
……と、さも詳しげに書いておりますが、私も「こいこい」以外は全くと言っていいほど知らず、単純に「何かカッコイイ!好き!」くらいの気持ちで花札を愛しております。

話を戻しますが、花札の桜をつまみ細工で表現するにあたり、私が一番こだわったのが「珊瑚を使う」ということでした。
つまみ細工で花を作る際にはビーズやラインストーンを使うことが多いのですが、「3月だし!誕生石だし!ピンクも赤もあるんだから、使うしかないじゃない!」って思いまして。それからしばらく、ほどよい色と大きさの珊瑚(と言っても私でも買える価格の色付けされた珊瑚※後述します)を探し求めつつ、やる気が降りてくるのを待つ日々を経て、ようやく完成させることができました。

◆宝石としての珊瑚について

自分の誕生石ということもあり珊瑚に悪いイメージは全く無かったのですが、ジュエリーとして加工された珊瑚などはやはり手軽に買えるようなお値段ではないですし、カジュアルに身につけるようなデザインのものも少ない印象で、自分には縁遠い気がしていました。

そういった高級な珊瑚(=宝石珊瑚)というものは、ベニサンゴやモモイロサンゴといった深海で育つ珊瑚です。古くは地中海で採れたものがシルクロードを通って日本へもたらされていました。(「胡の国を通った宝石」という意味合いで「瑚」の字が当てられているとのこと。)しかし19世紀以降は日本でも採れることが分かり、現在でも真珠と共に日本が誇る海の宝石として愛されています。

一方で、今回私が使用した丸い珊瑚ビーズは「トクサヤギ」または「海竹(シーバンブー)」と呼ばれる、砥草や竹のように節のある珊瑚を赤やピンクに染めたもので、こちらの種類は比較的浅い海で育つ種類のものです。(昔はこの珊瑚の化石が山から採れたため「ヤマサンゴ」とも呼ばれていたとのこと。)
宝石珊瑚とは違う種類のものですが、気軽に身につけられる良さがあると思います。

◆まとめ

今回は珊瑚について書くために本やネットで色々調べていたら、名前の由来など知らないことばかりで、珊瑚の奥深さに驚かされました。

ちなみに、最初にチラッと触れたブラッドストーン(血石/血玉髄)は「キリストの血が滴り落ちた」という伝説により中世ヨーロッパでは人気があったとのことですが、日本ではやはりマイナーなのでしょうか。
私もまだ持っていないので、いつの日かアクアマリン・珊瑚と共に並べてみたいと思っています。

この記事を書いた人:政城(マサキ)

プロフィール:趣味で何か色々作る人。透明な石が大好物。