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フローライト*フローライト

政城です。米津玄師さんの「フローライト」を聞きながらこの記事を書いています。
公式でYouTubeにミュージックビデオがアップされているので、興味のある方は是非聴いてみてください♪(ちなみに米津さんは「翡翠の狼」という曲も書かれているので、もしかして宝石とかお好きなのかしら?と勝手に思っています。)

そのようなわけで、今回はフローライトについて掘り下げてみました。

◆和名は「蛍石(ほたるいし)」

フローライト/フルオライト(Fluorite)
私は子供の頃に博物館で見た「紫外線を当てると蛍光する石」の印象が強く、紫外線(ブラックライト)で光るから蛍石なのだと思い込んでいたのですが……そういった特徴を持つものは、蛍石の中でもイギリス・中国等の一部の産地ものだけなのだそうです。
「加熱・加圧・放射線の照射などにより光る」という特徴があります。

◆フッ素のFはフローライトのF?!

成分としてはフッ化カルシウム(カルシウムとフッ素の化合物)なのですが、名前の由来を調べてみると、色々と面白いことが分かりました。

1.古来、製鉄などの際に一緒に入れると不必要な成分が流れやすくなることから、ラテン語のFluorum(流れる)+~ite(石)=Fluoriteとなった。
2. また、その際に熱を加えられたが光を発したことから「fluorescence=蛍光」という語が生まれた。
3. 物理学者のアンドレ=マリ・アンペール(1775-1836。電流の単位「アンペア」の人らしいですよ!)が、蛍石=Fluoriteからその成分を「Fluorine=フッ素」と命名。

……ということで、原子番号:9、元素記号:F、我々がフッ素と呼んでいるあの成分は、フローライトから来ているようなのです!
※「フッ素(Fluorine)の方が先なのでは?」という説もありますが、鉄器の製造などは紀元前から行われており、(どの時代からフローライトが使われるようになったかは不明ですが)順番としてはフローライトが先でも不思議はない気がします。

◆メキシコ産原石


さて、こちらは原石なのですが、深い青紫色のフローライトです。これは太陽光の下で撮影したので紫が強く見えますが、蛍光灯の下だとより青っぽく見えます。
フローライトの結晶は直方体になる性質があるので、原石はこのような遺跡のような都市のような、不思議な形になっています。

◆宝石質フローライト


こちらは透明度の高いフローライトをオーバルコンケーブカットにしたものです。
太陽光の下で撮影してみましたが、とってもキラキラしていて綺麗ですよね!フローライトというと「安価な鉱石」というイメージが強いですが、質の良いものは数万円する場合もあります。

◆フローライトを割ってみよう!

フローライトの大きな特徴として、劈開(へきかい:決まった方向に割れる性質)があります。お店などで正八面体(ピラミッドを上下に合わせたような形)の原石が売られていることがありますが、それらはこの劈開を利用して形を整えたものが多いようです。
ニッパーで割ることができると本に書いてあったので、実際に割ってみることにしました。


パワーストーン屋さんで手頃な石を買ってきました。(約3cmほどの大きさです。)透明度が高く、とてもかわいい石ですが、劈開体験のために尊い犠牲となってもらいます。


うっすらと層になっている辺りをニッパーで挟み、少し力を加えると簡単に割れました。


割れた面をよく見ると、なんとなく四角が見えるので、そこら辺が割れるだろうという目星を付けて割っていきます。

どうにかピラミッド型っぽい部分が完成しました。


更に形を整えて、やや歪ながらも正八面体にすることができました!(一辺6~7mm。)


もう一つくらいできるかと思いその後も割り続けてみましたが、最後の最後で意図しないところで割れてしまったりして、結局ほとんど粉々になってしまいました……。自分で割ってみるのもなかなか楽しいですが、買った方が間違いないと思います。

もし自分で結晶を割る場合は、
・磨かれていない大き目の結晶を用意する
・ちゃんとしたニッパーを使う
(※手芸用の小さいのでは割りにくかったです。)
・手袋を着けて作業する
(※細かい破片で指が傷つくことがあります。)
・新聞紙などを広げて屋外で割る
といった点に気を付けると、安心安全に作業できると思います。

◆まとめ

いかがでしたでしょうか?
一つの宝石でも色んな姿があったり、調べてみると思いがけない発見もあって、本当に面白いなぁと思います。より深く知ることで、もっと好きになることもありますしね!

長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!!

この記事を書いた人:政城(マサキ)

プロフィール:趣味で何か色々作る人。透明な石が大好物。